今回は競馬の馬券が経費になるのかという部分について記事を書きたいと思います。
競馬の馬券には税金が掛かる事をご存知でしょうか?
的中した金額に対して、雑所得という所得税がかかってきます。
となると経費は外れた馬券でしょうか?
そんな疑問をまとめて紹介します。
目次
競馬に掛かる税金とは何?
競馬の払戻金に税金がかかるというのは、日本の税法で定められている事です。
そこで気になるのは、払戻金が所得として課税の対象になるのであれば、馬券の購入費用を経費として相殺する事は出来ないのか?と思いますよね。
そのためには、払戻金を「雑所得」として認めてもらう必要があります。
現在日本の法律でそれを実現するには、馬券の購入と払戻金受け取りのサイクルが「営利を目的とする継続的な行為」として成り立っていなければなりません。
難しい条件ですが、馬券購入代金を経費として控除できるのはどのような場合なのか、具体的に紹介していきます。
普通に買った馬券が経費として認められることはない
まず前提として、的中を出した1枚の馬券を購入した費用であれば、その馬券により得られた払戻金とは相殺する事が出来ます。
払戻金 - 馬券購入費用が、実際の利益です。
単純に考えると3万円購入した馬券が的中して6万円になった場合、3万円が純利になり、その3万は課税の対象になるようです。
しかし、利益の年間の合計額が「50万円」を超えなければ課税対象とはならないというルールがあるので、利益の額が「499,999円」までであれば税金はかかりません。
ここまで読むと「馬券購入代金を経費として相殺してるように見えるけど」と思えるかもしれません。
しかし重要なポイントは、この利益とは別にハズレ馬券が何枚あっても、それらの負け分は全く考慮されないという点です。
例えば20万円の馬券を10枚を合計200万円で購入し、そのうちの1枚が100万円の払い戻しを受けたとします。
収支上は「-100万円」なので大赤字となりますが、ハズレ馬券の購入費は考慮されないため「払戻金の100万円」に対してのみ税が計算される事になってしまいます。
要するに全体の収支と一切関係なく、課税対象とになるという事です。
この「ハズレ馬券」の購入費用を経費と出来るのが、冒頭で述べた通り「馬券の購入と払戻金受け取りのサイクルが営利を目的とする継続的な行為」として認められた場合のみとなります。
ちょっとおかしな話ですよね。
まぁ競馬がギャンブルのなので、商売でやるものでは無いから納得もできるのですが、私の個人的な感覚からいえば、初めから競馬の的中馬券に課税しなきゃ良いのにと思いますね。
宝くじのように、購入代金の中に税金を入れておけば、こんな理不尽な事は起きないと思います。
経理の法律上の問題
競馬に掛かる税金は所得税法第34条(一時所得)関係が多くあります。
その一時所得に大きなカギがありますので、詳しく紹介しましょう。
競馬の配当金は「一時所得」として扱われる
上記の内容を踏まえ、所得税法第34条を見ていくと、「次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する」という条文に続いて、以下のように明確な記述があります。
■競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等
引用元:国税庁
一時所得とはそもそも何なのかについて調べると、国税庁による所得税に関する説明の中に以下のような記載があります。
一時所得の国税庁が定める概要は下記の通りになります。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
この所得には、次のようなものがあります。
(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
引用元:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm
この内容が国税庁が決める、一時所得の内容です。
単純に、週末に趣味で競馬をして、高額当選した場合は一時所得になるという事でしょう。
一時所得の計算方法
ここでは、その一時所得に該当する場合の計算方法を紹介します。
一時所得の金額は、次のように算式します。
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(注) その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、
直接要した金額に限ります。
これを競馬で考えてみましょう。
総収入金額は「払戻金額」収入を得るために支出した金額は「当たり馬券の購入費用」
という事になります。
また、ここの「特別控除額(最高50万円)」が、50万円以上の利益でなければ課税対象とならない理由です。
50万円を超える利益を得た場合はその収入は「一時所得」となり、「一時所得」は所得税の対象となります。
そして、この一時所得の計算方法自体に、ハズレ馬券の購入費用に該当する「経費」を考慮する記載がそもそもありません。
そのことからも、ハズレ馬券の購入費用が法律で公式に「税法とは関係のないもの」として扱われている事が分かりますね。
的中金額が「雑所得」扱いになれば経費が考慮される
「ハズレ馬券」を経費として認めさせるためには、競馬への参加を「営利を目的とする継続的な行為」だと認めさせる必要があります。
例えば、競馬のライターで全レースを掛ける仕事をしている人は、競馬の馬券が経費にする事も出来る可能性もあるのかと思います。
雑所得として認められると、馬券による利益が「一時所得」ではなく「雑所得」扱いになります。
これこそが「ハズレ馬券」を経費にする唯一の方法です。
「雑所得」とはなにか?
まずは国税庁の引用から紹介します。
雑所得の金額は、次の(1)と(2)との合計額です。
(1) 公的年金等
収入金額 – 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
(注) 公的年金等控除額は、受給者の年齢、年金の収入金額に応じて定められています。
(2) 公的年金等以外のもの
総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得
「雑所得」は、給与所得・不動産所得・給与所得そして一時所得などの9つの所得に当てはまらないその他の所得の事を指します。
「一時所得」の場合は、利益を出したそのポイントポイントで税金の計算をするため、利益が出なかったハズレ馬券の購入費は考慮されません。
一方で「雑所得」は、年間の総収入金額と必要経費を計算して算出するものです。
雑所得扱いとなった場合は必要経費にハズレ馬券購入費用が含まれるため、払戻金とハズレ馬券購入費を利益と経費として計算する事が出来るようになります。
「雑所得」として認められる条件
それでは「雑所得」扱いとなるため条件がどのようなものなのか、更に具体的に解説します。
これは「所得税法第34条《一時所得》関係」に詳細な記述があります。
下記は国税庁から抜粋しています。
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
1. 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2. 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
引用元:国税庁か抜粋しています。
とても長い脚注ですが、「インターネットで馬券を自動的に選別・購入するソフトを開発し、それが営業活動として客観的に成り立っている場合」に雑所得扱いにすると書かれています。
こう見るとかなりハードルが高く、個人としてこれを実践するには相当な資金力とソフト
ウェア開発力が必要になります。
この結果を見ても、一般人には話にならないですね。
週末競馬を楽しむのでは、ハズレ馬券は経費になります。
外れ馬券経費裁判にまつわる裁判について
過去にすごいニュースが起きました。
このニュースは大きく新聞などに取り上げられたニュースです。
大阪のとある男性が競馬システムを利用して、35億1千万円もの馬券を購入し約1億5千万円の利益を得ていましたが、大阪国税局から請求されたのは利益の4倍以上に当たる6億8千万円の追徴課税でした。
これに納得が出来なかった男性側が「馬券の購入費用を経費として計算していないのはおかしい」として国税局を相手に裁判を起こしました。
当人は1億6千万の当選金から税金を算出するべきだと主張しており、国税庁は36億以上の配当を得ていた事実は変わらないので、課税は6億以上になる!
と言っていました。
この裁判は最終的に最高裁判所で判決がきまり「ソフトウェアを利用した営利目的の継続的行為」であったして、男性側の主張が認められ払戻金は雑所得であるという判断に至りました。
この裁判は「外れ馬券経費裁判」と呼ばれており、馬券購入費用を経費として国が認めるという非常に珍しい判決が出た裁判として話題になりました。
でも、この本人からしてみたら、正当な主張ですよね。
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無料予想を今すぐ手に入れる!まとめ
今回はハズレの馬券が経費になるのかという部分について、記事をまとめました。
結果的に、一般人が週末や平日に少し購入した場合は、一切認められないと分かりました。
しかし、前述のものと同様の裁判が北海道でも起き、こちらはソフトウェアを使用せず独自の方法で購入した結果多額の利益を得た男性が対象となる事象がおもりました。
それでも最高裁は「経費として認める」という判決を言い渡し、ソフトウェアを使用しなくても雑所得扱いとする場合がある、という考えを示しました。
もしかしたら、今後経費として普通に認められる日が来るかも知れないですね。